うん、何?

神話のふるさとを舞台に、そこに暮らす人々の日常を瑞々しく描く

高校3年生の鉄郎が住む島根県・雲南市は、棚田が広がり、古き良き日本の風習が残る土地だ。彼の一日は、父の工場で作られる新鮮な牛乳を入院中の母 に届けることから始まる。目下の悩みは、卒業後の進路と、幼馴染で同級生の多賀子への想い…。高校生最後の夏休み、郷土を愛してやまない熱血教師・尾崎 は、鉄郎たちクラス一同を、市内の名所旧跡に連れ出すのだった。

神話の時代の原風景が残る島根県の山間を舞台に、そこで生きる人たちの日々の営みを紡いだ本作。少年の煮え切らない恋心、寡黙な父親の不器用な愛情 など、日本のふつうの田舎の人間模様が瑞々しく描き出されている。『白い船』に続く「島根三部作」の第二弾として、島根出身の錦織良成監督が故郷への愛情 を込めた渾身の一作だ。地元を愛する高校教師の生徒たちへのレクチャーを通じて、銅鐸出土で知られる加茂岩倉遺跡や、『もののけ姫』のタタラ場のモデルと 言われる菅谷たたら跡などの紹介も忘れない。単なる田舎の綺麗な風景だけでなく、神話の世界を切り取ったかのような木々の深みのある緑が美しい。


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